1級管工事施工管理技士[A問題空調設備要点まとめ]

空調設備[11問]衛生設備含め23問中12問選択

項目 問題数
目標正解数 5問

空気調和[5問]

ゾーニング

種類 系統
使用時間別のゾーニング 一般事務室と会議室
空調条件別のゾーニング 一般事務室と電算機室
負荷傾向別のゾーニング 一般事務室と食堂
ペリメーターゾーン(外周部)とインテリアゾーン(内周部)
方位別 ペリメーターゾーン(外周部)の東西南北

TAC温度

・一定範囲を超える温度を切り捨てた設計用外気温度

・冷房用で超過確率を大きくとるほど、設計外気温度が低くなる。
・冷房用で超過確率を小さくとるほど、設計外気温度が高くなる。

壁を通過する熱負荷

内壁の熱通過料$q_{S-1}$

$q_{S-1}=K・A・⊿t$
$K$:熱通過率
$A$:構造体の面積
$⊿t$:構造体前後の温度差

外壁の熱通過料$q_{S-2}$

$q_{S-2}=K・A・ETD$
$K$:熱通過率
$A$:構造体の面積
$ETD$:実効温度差(相当温度差)

熱通過率$K$

K=$\frac{1}{\frac{1}{α_i}+Σ\frac{I}{λ}+ΣRa+\frac{1}{α_O}}$
・熱伝達率$α$が大きくなる、$K$が大きくなる
・同じ構造体の場合は、内壁<外壁となる。
・同じ構造体の外壁の場合は、夏<冬となる。

中間空気層の熱抵抗$Ra$

・平面材料に挟まれた密閉状態の垂直空気層の相当熱伝導抵抗は、厚さが増すにつれて大きくなる。
2cmを超えるとほぼ一定となる。

実効温度差ETD

・外壁(北側を含む)の熱負荷計算に使用する。
・外壁の熱容量に応じた時間遅れを考慮している。
・壁体の断面構成、外壁面に当たる全日射量、時刻、方位、外気温度等により変わる。

窓ガラスを通過する熱負荷

・冷房負荷計算では、ガラス面通過熱負荷と、ガラス面日射熱負荷とに区分して計算する。
・直達日射のない北側のガラス面でも、天空日射による熱負荷の影響を考慮する。

その他の熱負荷

人体

・全発熱量は、室内温度が変わっても、ほとんど変わらない。
・室内温度が上がると、顕熱が小さくなり、潜熱が大きくなる。
・重労働になるほど、特に潜熱の増加が大きくなる。

照明

・同じワット数では、白熱灯<蛍光灯となる。
・蛍光灯では、安定器も熱負荷となる。

土間床・地下壁

・年中熱損失となる。
・暖房時には考慮し、冷房時は無視する。

省エネルギー

・長方形の建築物の場合、長辺が南北面となるように配置する。
・同じ床面積の場合は、建築平面の縦横比を1(正方形)に近づける。
・窓と庇が同一形状の場合、真夏時の日射負荷軽減効果は、南面の方が西面より有効である。

ブラインド

・日射負荷の遮蔽効果がある。
・二重ガラスの室内側に設けるより、二重ガラスの間に設ける方が高い。

暖房

蒸気暖房

・蒸気の潜熱を利用、放熱量の調整が困難である。
・重力還水方式と真空還水方式がある。
・温水暖房と比較して、一般に、所要放熱面積が小さい。
・装置や管内保有水の熱容量が小さい。
・予熱時間が短い 間欠運転に適している。
・一般に配管の腐食が早い。

放射暖房

・室内設計温度を低く抑えることができる。
・室内空気の温度ムラが少ない。
・室内気流を生じにくい。

低温放射暖房

・予熱時間が長い、間欠運転に適さない。

空気線図

r2a17

定風量単一ダクト方式

特徴

・送風量を一定にして、送風温湿度を変化させる。
・各室間で温湿度のアンバランスが生じやすい。
・部屋の用途変更、負荷の増加への対応が困難である。
・送風量が多いので、中間期の外気冷房が容易である。

自動制御

・電気集塵器は、空気調和機のファンと連動運転とし、二位置制御する。
・加湿器は、空気調和機のファンと連動し、室内又は還気ダクト内の相対湿度を検出して二位置制御する。
・外気取入及び排気ダンパーは、遅延制御とし、室内又は還気ダクト内の二酸化炭素濃度で比例制御とする。
・冷却塔のファンは、冷却塔の出口冷却水温度で二位置制御とする。

変風量単一ダクト方式

特徴

・VAV方式ともいわれ、空気調和機から送風された空気をVAVユニットで調整して吹き出す空調方式である。
・低負荷時に吹き出し風量が少なくなる。
・必要外気量、空気洗浄度の確保対策が必要である。
・温度ムラを生じやすい。
・個別又はゾーンごとの空気清浄度の調整は出来ない。
・冷房時の低風量状態では、コールドドラフトを生じやすい。

自動制御

・電気集塵機は、空気調和機のファンと連動とする。
・冷温水コイルの制御弁は、空気調和機の出口空気温度(給気温度)で比例制御する。
・空気調和機のファンは、給気ダクト内の静圧又は変風量ユニットの開度信号から、風量を演算して制御する。
・変風量ユニットは、室内の温度で比例制御する。
・外気取入及び排気ダンパーは、遅延制御とし、室内又は還気ダクト内の二酸化炭素濃度で比例制御する。
・冷却塔のファンは、冷却塔の出口冷却水温度で二位置制御とする。

ダクト併用ファンコイルユニット方式

・個別制御ができる。
・熱負荷変動の大きいペリメーターゾーンの負荷処理が容易である。
・高度な空気処理が困難である。
・全空気方式に比べて、送風量が少なく、搬送動力、ダクトスペースが小さい。
・外気冷房の降下を得にくい。

床吹き出し方式

・吹出口の位置変更や増設が容易である。
・冷房運転時の垂直方向温度差が大きい。
・天井吹出し方式に比べて、冷房運転時の吹き出し温度差を大きく出来ない。
・浮遊粉塵量が少ない。

冷暖房[2問]

熱源方式

・コージェネレーションシステム
・氷蓄熱
・ヒートポンプ
・地域冷暖房
の特徴について

コージェネレーションシステム

・発電により生じる熱を回収して、冷暖房や給湯に利用するシステムのことである。
・用途は、ホテルや病院に適している。
・排熱を高温から低温に向けて順次多段階に活用するカスケード利用を行うよう配慮する。
・燃料電池を用いるシステムを除き、内燃機関、熱回収装置、発電機等で構成される。
・主に使用される内燃機関は、ディーゼルエンジン、ガスエンジン、ガスタービンである。

ディーゼルエンジン ガスエンジン ガスタービン 燃料電池
発電効率 高い 高い 普通 高い
排熱の利用効率 普通 高い 高い 低い
排ガスの温度 普通 高温 高温 低温
排ガスの清浄度 低い 高い 高い 高い
騒音 大きい 普通 普通 小さい
振動 大きい 小さい 普通 小さい
回収熱の形態 蒸気・温水 蒸気・温水 蒸気 温水
カスケード利用の概念

燃焼ガス
高温高圧蒸気 蒸気タービン
高温高圧蒸気 工業用(高温分野)
蒸気 工業用(低温分野)
等を暖房・給湯として利用する。

蓄熱方式

・熱源機器の深夜電力の利用が可能とする。

水蓄熱槽・氷蓄熱槽

・水蓄熱槽と比較した氷蓄熱槽の特徴として、氷の融解潜熱と水の顕熱を利用する。
・蓄熱槽容量が小さい。
・冷水温度が低い
・搬送動力の低減、除湿効果が期待できる。
・冷媒の蒸発温度が低い
・冷凍機の成績係数(COP)が小さい

ヒートポンプ

・採熱源、量が豊富で時間的変化が少ない、平均温度が高く温度変化が少ないことが適応条件である。
・河川水、大気、下水道水等を熱源として利用される。

暖房能力

・外気温が低くなるほど、蒸発圧力や蒸発温度が低下する。
・除霜運転は、四方弁を冷房サイクルに切り替える。
・冷媒封入量 冷媒配管長さにより調節する。

成績係数(COP)

・圧縮機の仕事に対して蒸発器がどれだけ吸熱したかを判断するものを成績係数という。
冷房時のCOP $ε_c=冷凍効果÷圧縮仕事$
暖房時のCOP $ε_h=加熱効果÷圧縮仕事$

暖房時の成績係数:$ε_h$

・加熱能力(加熱効果)を投入したエネルギー(圧縮仕事)で除したものである。
・理論上、冷房時の成績係数に1を加えた値である。
・蒸発温度が一定の場合、凝縮温度が高いほど小さくなる。
・吸熱側と放熱側の温度差が小さいほど大きくなる。

地域冷暖房

メリット

・人件費の削減ができる。
・建物ごとの熱源機器が不要である。
・床面積の利用率が高くなる
・高効率の熱源機器が採用できる。
・大気汚染の防止となる。
・エネルギーの有効利用ができる。

対象地域

・熱需要密度が高い。
・熱源設備の負荷率が高い。
・ピーク負荷発生時刻の重なりが少ない。
・デグリーデーが高い。
・住民、自治体、企業等の積極的な参加がある。
・需要家の所得、生活水準が高い

換気・排煙[4問]

建築基準法の規定

居室の換気

・窓など換気に有効な部分の面積 床面積の1/20以上とする。
・障子等で仕切られた2室は1室とみなす。

自然換気設備

・換気上有効な給気口及び排気筒を有する。
・給気口は、居室天井高さの1/2以下の高さに設け、常時開放された構造とする。
・排気口は給気口より高い位置とし、常時開放された構造とする。
・排気筒の立ち上がり部分は直接外気に開放する。

中央管理方式の空気調和設備等

・劇場、映画館、公会堂、集会場等の特殊建築物の居室に設ける設備は、機械換気設備、中央管理方式の空気調和設備とする。
・非常用の昇降機を設けなければならない高さ31mを超える建築物又は各構えの床面積の合計が1,000㎡を超える地下街中央管理室で行う。

中央管理方式の空気調和設備

浮遊粉塵量:0.15mg/㎥以下
CO含有率:100万分の10以下
CO2含有率:100万分の1,000以下
温度:17℃以上28℃以下
相対湿度:40%以上、70%以下
気流:0.5m/s以下

換気設備が不要な火気使用室
密閉式燃焼器具等

・火を使用する設備又は器具で、直接屋外から空気を取り入れ、かつ、廃ガスその他の生成物を直接屋外に排出する構造を有するもの。
・その他室内の空気を汚染するおそれがないもの。
・密閉式燃焼器具等以外の火を使用する設備又は器具を設けていない室。
・室内の空気を汚染するおそれがある、解放式燃焼器具、半密閉式燃焼器具等がないこと。
・解放式燃焼器具、半密閉式燃焼器具は換気設備が必要である。
・密閉式燃焼器具は、換気設備が不要である。

小規模な住宅の調理室

・床面積の合計が100㎡以内の住宅又は住戸における発熱量の合計が12kW以下の調理室で、当該調理室の床面積の1/10以上の開口部を設けた場合は換気設備が不要である。

調理室以外の火気使用室

・発熱量の合計が6kW以下の設備又は器具を設けた換気上有効な開口部(サッシに設けた換気用の小窓等)を設けた場合は換気設備が不要である。

換気設備が必要な火気使用室

・給気口は、天井の高さの1/2以下とする。
・排気口は、天井又は天井から下方80cm以内とする。
・発熱量が12kW超の調理室等は、当該器具に接続して煙突を設けるか又は排気フードを有する排気筒を設ける。
・酸素の含有率をおおむね20.5%以上に換気する。

火気使用室の換気扇等

有効換気量
排気フードなし V=40kQ
排気フードⅠ型 V=30kQ
排気フードⅡ型 V=20kQ
煙突 V=2kQ

k:燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量
Q:火を使用する設備又は器具の実況に応じた燃料消費量

機械換気

第1種機械換気

・室内を正圧にも負圧にもできる。
用途:業務用厨房、機械室、ポンプ室、ボイラー室、発電機室、喫煙室、地階の無窓居室

第2種機械換気

・室内は正圧
用途:ボイラー室、手術室

第3種機械換気

・室内は負圧
用途:浴室、シャワー室、湯沸室、便所、喫煙所、駐車場、書庫

施工上の注意点

・大規模な地下駐車場等は誘引誘導換気方式の場合がある。
・ドラフトチャンバーを設置する室は負圧に保つ
・浴室の使用後、排気送風機をタイマーでしばらく運転する。
・冬季の視界不良を防止、給気を加熱する。
・便所、浴室、全熱交換器による熱回収を行わない。

換気量計算

在室人員による換気

・無窓の居室(換気上有効な開口部を有しない居室)に機械換気設備を設ける場合、1人当たり必要な有効換気量の最小値を20㎥/hとする。
・算定人員は、特殊建築物(劇場、映画館、公会堂、集会場等)の居室、3㎡に1人以上とみなす。
・その他の建築物の居室は10㎡に1人以上とみなす。

無窓居室に機械換気設備を設ける場合の必要有効換気量の最小値$V$
$V=20×(X_1+X_2+・・・+X_n)$
$X$:確執の算定人員

・特殊建築物で床面積÷在室人員>3[㎡/人]となる場合は、X=床面積÷3人[人]とみなす。

・その他の建築物で床面積÷在室人員>10[㎡/人]となる場合は、X=床面積÷10[人]とみなす。

例題

換気上有効な開口部を有しない居室aと居室bの換気を1つの機械換気設備で行う場合に必要な最小の有効換気量V[m3/h]として、建築基準法上、正しいものはどれか。
居室aの床面積は150m2、在室人員15人とする。居室bの床面積は200 m2、在室人員15人とする。
ただし、居室a、bは特殊建築物の居室ではないものとする。

⑴ 600[㎥/h]

⑵ 700[㎥/h]

⑶ 900[㎥/h]

⑷1,050[㎥/h]

正解

居室aの人員は150÷10=15人
居室bの人員は200÷10=20人(在室人員15人と比べて多い数)
20㎥/h×(15+20)=700[㎥/h]
⑵が正しい

汚染物質濃度による換気

室内の汚染物質を許容値以下にするために導入する外気の最小値$V$
$V=M÷(C-Co)$
$M$:室内の汚染物質発生量
$C$:室内空気の汚染物質濃度
$Co$:導入外気の汚染物質濃度

排煙設備設置

対象建築物等

・劇場、映画館等で延べ面積500㎡超のもの。
・階数3以上で、延べ面積500㎡超の建築物であるのも。
・延べ面積1,000㎡超の建築物の居室、床面積200㎡超のもの。(建築物の高さが31m以下の部分にある居室で、床面積100㎡以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)

除外規定

・学校、体育館、ボーリング場、水泳場、スポーツの練習場である場合。
・階段の部分、昇降機の昇降路の部分など。

排煙設備構造等

防煙壁

・間仕切り壁、天井面から50cm以上下方に突出した垂れ壁等で不燃材料で造り、又は覆われたもの。

防煙区画

・500㎡以内ごとに防煙壁で区画する。
・劇場、映画館等で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものは、床面積が500㎡を超える区画にできる。

排煙口(水平方向の位置)

・防煙区画部分の各部分から、排煙口の一つに至る水平距離を30m以下とする。
・避難方向と煙の流れは反対にする。

排煙口(鉛直方向の位置)

・天井高3m未満、天井又は天井から80cm以内とする。
・天井高3m以上 床面から高さ2.1m以上かつ、天井の高さの1/2以上とする。
・防煙垂れ壁で区画した場合防煙垂れ壁の下端より上に設置する。

排煙口(構造)

・同一防煙区画に複数の排煙口を設置する場合は連動機構付きとする。
・同一防煙区画に可動間仕切り、それぞれに排煙口を設け連動させる。
・同一防煙区画の計上が複雑な場合やL字型、平面が矩形になるように分割し、それぞれに排煙口を設け連動させる。
・排煙口の大きさ、吸込み風速10m/s以下とする。

手動開放装置

・排煙口には手動開放装置を設ける。
・壁付、床から80cm以上1.5m以下とする。
・天井吊りは、床からおおむね1.8mとする。

排煙ダクト

・ダクト内風速20m/s以下とする。
・居室と廊下の横引きダクト、たてダクトまで別系統とする。
・垂直に各階を貫通して立ち上げるたてダクトは、耐火構造のシャフトに収める。
・木材その他可燃物から15cm以上離す。
・防煙壁を貫通する場合は、隙間をモルタルその他の不燃材料で埋める。

排煙量計算

排煙機

1防煙区画のみ
120㎥/min以上で、かつ、防煙区画部分の床面積1㎡につき1㎥/min以上
2以上の防煙区画
120㎥/min以上で、かつ最大防煙区画部分の床面積1㎡につき2㎥/min以上

横引きダクト

・排煙口の同時開放がない場合は、最大防煙区画部分の床面積1㎡につき1㎥/min以上とする。
・排煙口の同時開放がある場合は、隣接する2防煙区画が最大となる延床面積1㎡につき1㎥/min以上とする。

たてダクト

・各階ごとの排煙風量のうち最大風量とする。

排煙機

・120㎥/min以上で、かつ最大防煙区画部分の床面積×2㎥/min以上とする。