問題A出題範囲
項目 | 問題数 |
出題数 | 44問 |
必要解答数 | 33問 |
目標正解数 | 23問 |
原論[10問]必須
項目 | 問題数 |
目標正解数 | 9問 |
環境工学[3問]
地球環境
項目 | 内容 | ||||||
ライフサイクル | 二酸化炭素排出量のライフサイクルでは、設計・建設段階、運用段階、改修段階、廃棄段階のうち、運用段階が全体の過半数を占めている。 | ||||||
酸性雨 | 大気中の硫黄酸化物や窒素酸化物が溶け込んで酸性となった雨で、湖沼や森林の生態系へ悪影響を与えるほか、建築構造物にも被害を与える。 | ||||||
オゾン層破壊 | オゾン層が破壊されると、太陽光に含まれる紫外線の地表への到達量が増大して、生物に悪影響を与える。 |
種 類 | オゾン層破壊係数 | 地球温暖化係数 | |
特定フロン | CFC-11 | 1.0 | 4,750 |
指定フロン | HCFC-22 | 0.055 | 1,810 |
HCFC-123 | 0.02 | 77 | |
代替フロン | HFC-134a | 0 | 1,430 |
二酸化炭素:CO2 | 0 | 1 | |
アンモニア:NH3 | 0 | <1 |
日射
項目 | 内容 |
日射 | 日射の大気透過率は、水蒸気の量に影響される。 |
直達日射とは、大気層を通過して直接到達する日射をいう。 | |
天空日射とは、大気層で散乱して地表に到達する日射をいう。 | |
日射のエネルギーは可視線部の赤外線部に多く含まれている。 | |
太陽定数とは、大気圏外での太陽放射を太陽光線に垂直な面で受けた場合の日射量の年間平均値をいう。 | |
大気透過率は、地表に到達する日射と大気層の入口における日射の強さの比である。 | |
日射により加熱された地表から放射される遠赤外線は、大気中の二酸化炭素などの温室効果ガスに吸収される。 |
結露
項目 | 内容 |
結露 | 室内側より屋外側の面積が大きくなる出隅部分は、他の部分に比べ室内側に表面結露を生じやすい。 |
窓ガラスにカーテンをかけると、ガラス表面の熱伝達率が小さくなり、ガラス表面の温度が低下し、結露を生じやすくなる。 | |
繊維系断熱材を施した外壁における内部結露を防止するために、断熱材の室内側に防湿層を設ける。 | |
外壁を構成する仕上げ材の内部空隙における水蒸気分圧を、その点における飽和水蒸気圧より低くすると、内部結露を防止できる。 | |
床暖房以外の暖房をしている室内では、天井付近に比べて床付近が表面結露が生じやすい。 | |
室内空気の流動が小さくなると、壁面の温度が低下し、表面結露が生じやすい。 |
排水の水質
有害物質にかかわる排水基準 | |
有害物質・種類 | 許容限度 |
カドミウム及びその化合物 | カドミウムとして0.03mg/ℓ |
シアン化合物 | シアンとして1mg/ℓ |
有機燐化合物(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン及びEPNに限る。) | 1mg/ℓ |
鉛及びその化合物 | 鉛として0.1mg/ℓ |
六価クロム化合物 | 六価クロムとして0.5mg/ℓ |
砒素及びその化合物 | 砒素として0.1mg/ℓ |
水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物 | 水銀として0.005mg/ℓ |
水質汚濁 | ||
名称 | 概要 | |
BOD | 生物化学的酸素要求量 | 水中に含まれる有機物質が微生物によって酸化分解される際に消費される酸素量[mg/L]である。 |
1Lの水を20℃で5日間放置して、その間に微生物によって消費される酸素量で表す。 | ||
水中に含まれる有機物質の量を表す指標である。 | ||
COD | 化学的酸素要求量 | 水中に含まれる有機物質を酸化剤で化学的に酸化したときに消費される酸素量[mg/L] |
水中に含まれる有機物質及び無機性亜酸化物質を表す指標である。 | ||
TOD | 全酸素要求量 | 水中の被酸化性物質を完全に燃焼させ、その時に消費される酸素量[mg/L] |
TOC | 全有機炭素量 | 水中に存在する有機物質に含まれる炭素の総量[mg/L] |
水中の総炭素量から、無機性炭素量を引いて求める。 | ||
SS | 浮遊物質 | 粒径2mm以下の水に溶けない懸濁性の物質[mg/L] |
水の汚濁度を視覚的に判断する指標である。 | ||
全蒸発残留物から溶解性残留物を除いたもの。 | ||
DO | 溶存酸素 | 水中に溶けている酸素の量[mg/L] |
生物の呼吸や溶解物質の酸化等で消費される。 | ||
※水質汚濁の指標ではない。 | ||
窒素及びリン | 湖沼・海域等の閉鎖性水域における植物性プランクトンや水生植物が以上増殖する富栄養化の原因物質 | |
ノルマルヘキサン抽出物質 | 揮発しにくい炭化水素、グリース等の油分で、ノルマルヘキサンで抽出される物質 | |
ノルマルヘキサン抽出物質含有量[mg/L]は、油脂類による水質汚濁の指標である。 | ||
大腸菌 | 病原菌が存在する可能性を示す指標 |
室内環境
項目 | 内容 |
基礎代謝 | 一定の条件のもとにおける生命保持のために必要な最低限の代謝 |
エネルギー代謝率 | 作業時代謝量と安静時代謝量との差を基礎代謝量で割った値 |
呼吸商 | 二酸化炭素排出量を酸素摂取量で割った値 |
met | 人体の単位体表面積当りの代謝量を示す単位 椅座安静状態における代謝量を1metとする。 作業強度はmetで表す。 1metは単位体表面積当り約58.2W、標準的な体格をした成人1人当たり約100W |
酸素 | 酸素濃度が19%以下にすると不完全燃焼が始まり、一酸化炭素が発生する。 18%近くに低下すると、不完全燃焼が著しくなる。 15%程度に低下すると消化する。 |
二酸化炭素 | 20%程度以上になると、人体に致命的な影響を与える。 |
一酸化炭素 | 0.16%程度になると、20分で人体に頭痛、めまいが生じる。 1.28%程度になると、1~3分で致死する。 |
浮遊粉じん | 在室者の活動やその衣類の繊維やほこりなどで発生し、その量は空気の乾燥によって増加する。 1㎥につき0.15mg以下とする。 |
有効温度(ET) | 乾球温度、湿球温度及び気流速度を総合的に考慮した人体に及ぼす実感的な温度 無風・湿度100%の時に同じ体感を得る気温で表す。 周囲の壁体等による放射の効果を考慮していない。 |
修正有効温度(CET) | 乾球温度、湿球温度及び気流速度の他に周壁からの放射温度の影響を考慮した温度 放射による影響を考慮している。 グローブ温度計を用いる。 |
作用温度(OT) | 人体は周囲空間との間で対流と放射による熱交換を行っているが、これと同じ量の熱を交換する均一温度の閉鎖空間の温度をいう。 乾球温度、気流速度及び周壁からの放射温度に関係する。 実用上、周壁面の平均温度と室内気温との平均値で表す。 |
等価温度(EW) | 暖房時に乾球温度、気流速度及び周壁からの放射温度を用いて算出する温度をいう。 グローブ温度計で測定される。 |
新有効温度(ET※) | 湿度50%を基準とし、気温、湿度、気流、放射温度、代謝量(作業強度)及び着衣量の要素を総合で気に表改した温熱環境指標をいう。 新有効温度は湿度50%を基準とする。 |
予想平均申告(PMV) | 熱的中立温度を予測し、その条件で人体の温冷感を+3から-3までの7段階で表したもの。 気温、湿度、気流、放射温度、代謝量及び着衣量の6つの要素で求める。 |
流体力学[3問]
流体の運動 | ||
名称 | 数式及び注意点 | |
摩擦応力 | 摩擦応力=粘性係数×速度勾配 | |
摩擦応力は速度勾配に比例する | ||
粘性係数は、気体では温度の上昇とともに大きくなり、液体では温度の上昇とともに小さくなる。 | ||
動粘性係数 | 動粘性係数=粘性係数÷密度 | $ν=\frac{η}{ρ}$ |
動粘性係数は、粘性係数に比例し、密度に反比例する。 | ||
レイノルズ数 | レイノルズ数=平均流速×管径÷動粘性係数 | $Re=$$\frac{V×d}{ν}$ |
層流か乱流かを判断する数値 層流<2,000 乱流>4,000 | ||
慣性力(平均流速×管径)と粘性力(動粘性係数)の比で表す。 | ||
レイノルズ数は、平均流速と管径に比例し、動粘性係数に反比例する。 | ||
トリチェリの定理 | 流速=速度係数$\sqrt{2×重力加速度×水面の高さ}$ | $ν=C\sqrt{2gh} \\$ |
水槽の下端の小穴から流出する水の速度$ν$は、小穴から水面までの高さ$h$の1/2乗に比例する。 | ||
静圧 | 静圧=全圧-動圧 | $P$$S$$=$$P$$T$$-P$$D$ |
動圧 | 動圧=(流体の密度×流体の速度の2乗)÷2 | $P$$D$$=\frac{ρ×ν^2}{2}$ |
全圧 | 全圧=静圧+動圧 | $P$$T$$=P$$S$$+P$$D$ |
圧力損失 |
圧力損失=(管摩擦係数×管長÷管径)×(密度×平均流速の2乗÷2) | $⊿P=λ\frac{l}{d}$$×$$\frac{ρ×ν^2}{2}$ |
ダルシー・ワイスバッハの式 | ||
管摩擦係数、管長、平均流速の2乗に比例する。 | ||
管径に反比例する。 | ||
水頭損失 |
水頭損失=(管摩擦係数×管長÷管径)×(平均流速の2乗÷2×重力) | $⊿h=λ\frac{l}{d}$$×$$\frac{ν^2}{2g}$ |
動圧に比例する。 |
粘性
・運動している流体内部の近接した2つの部分が相互に力を及ぼす性質のこと、内部摩擦ともいう。
・摩擦応力が速度勾配に比例する流体をニュートン流体という。
$摩擦応力=粘性係数×速度勾配$
速度勾配=dv/dy
速度/管壁からの距離
・流体の粘性による摩擦応力の影響は、物体の表面近くで顕著である。
・この物体表面近くの層を境界層という。
・粘性がなく圧力のみ存在する流体を完全流体という。
粘性係数
・流体固有の粘性を表す定数である。
・気体は、温度の上昇とともに大きくなる。
・液体は、温度の上昇とともに小さくなる。
・流体の種類と温度により変わる。
動粘性係数
$動粘性係数=粘性係数÷密度$
・粘性係数に比例する。
・密度に反比例する。
・気体は温度の上昇とともに大きくなる。
・液体は温度の上昇とともに小さくなる。
表面張力
・液体分子の凝集によって、液体の表面をできるだけ小さくしようとする力である。
・液体と固体の接する角度を接触角という。
毛管現象
・液中に細い管を立てたときに、液体の表面が上昇又は下降する現象である。
・細管中の液面高さは、表面張力に比例する。
圧縮性
・物体に圧力を加えたときに、体積が変化する性質をいう。
・液体は、圧力を加えても体積変化がほとんどない非圧縮性流体である。
・気体は、圧力を加えると体積変化が大きい圧縮性流体である。
溶解度
・液体物質に溶ける物質量の上限、溶けやすさを表す。
・一定温度の液体に溶解する空気の量は、圧力に比例する。
・水に対する空気の溶解度は、水温の上昇とともに減少する。
・水を加熱すると泡が発生する。
等方性
・どの方向に対しても等しい性質を有している。
・密閉した容器内に静止している流体の一部に加えられた圧力は、全ての方向に等しく作用する。
・配管計画や空調計画が行える。
流体の運動
・層流とは、液体分子が層を成して流れることをいう。
・乱流とは、流体分子が不規則に入り混じる流れをいう。
レイノルズ数:Reとは、管内の流体の流れが層流か乱流かを判断する数値である。
$Re=平均流速×管径÷動粘性係数$
・流れの慣性力と粘性力の比で表す。
・2,000程度より小さい状態は層流である。
・4,000程度より大きい状態は乱流である。
・層流から乱流に遷移するときの値を臨界レイノルズ数という。
・平均流速と管径に比例する。
・動粘性係数に反比例する。
・水のレイノルズ数は温度上昇とともに大きくなる。
定常流と非定常流
・定常流とは、流れの状態が場所によってのみ定まり、時間的には変化しない流れをいう。
・非定常流とは、流れの状態が場所によって、時間と共に変化する流れをいう。
定理
ベルヌーイの定理
・重力の場において、定常流である非圧縮性の完全流体に適用されるエネルギー保存則である。
・流体のもっているエネルギーの総和である。
・流線に沿って一定不変である。
・流体の粘性と圧縮性は考慮しない。
$\frac{ρv^2}{2}+P+ρgh=一定$
運動エネルギー+圧力のエネルギー+位置のエネルギー=一定
$v$:速度
$g$:重力加速度
$P$:圧力
$h$:基準面の鉛直方向の高さ
$ρ$:流体の密度
トリチェリの定理
・大きな水槽の側壁に儲けた小穴から流出する水の速度vと、小穴から水面までの高さhの関係を表す。
$v=\sqrt{2gh} \\$
$g$:重力加速度
オリフィス等で流量測定を行う場合
$v=C\sqrt{2gh} \\$
$C$:速度係数
・液面の高さを3倍にすると流速は$\sqrt{3} \\$倍になる。
静圧・動圧・全圧
・静圧:$P_S$は、運動流体では、流れに平行な面に垂直に作用する。
・動圧:$P_D$は、運動している流体の全圧と静圧の差で表す。
$P_D=\frac{ρv^2}{2} \\$
・全圧:$P_T$は、運動している流体が有している圧力の総和であうr。
$P_T=静圧+動圧=P_S+P_D$
$=P_S+\frac{ρv^2}{2}$
・静圧と動圧の和である。
流量計
流量計 | |
ピトー管 | 管内の全圧と静圧の差、動圧を測定して流量を算出する。 |
ベンチュリー管 | 大口径部の静圧と小口径部の静圧の差を測定することにより流量を算出する。 |
オリフィス流量計 | オリフィスの前後の静圧の差を測定することにより流量を算出する。 |
ピトー管
・全圧と静圧の差(=動圧)を測定し、流速を算出する。
ベンチュリー管
・大口径部と小口径部の静圧の差を測定し、流量を算出する。
オリフィス流量計
・オリフィス前後の静圧を測定し流量を算出する。
カルマン渦
管路
抵抗
圧力損失:$⊿P$(水頭損失:$⊿h$)
・流体が運動するときは、粘性のために流体と流体との間に内部摩擦、流体と固体との間に外部摩擦が働く。
ダルシー・ワイズバッハの式
$⊿P=P_A-P_B=λ\frac{l}{d}×\frac{ρv^2}{2}$
管摩擦係数$λ$、管長$l$、平均流速の2乗$v^2$
動圧$(ρv^2)÷2$
・圧力損失に比例する
・管径$d$に反比例する。
水頭損失:$⊿h$
$⊿h=h_A-h_B=λ\frac{l}{d}×\frac{v^2}{2g}$
管摩擦係数:$λ$
内面の滑らかな円管においては、層流域は、レイノルズ数Reに反比例する。
$λ=\frac{64}{Re}$
乱流域では、ブラウジウスの式で表す。
$3×10^3< Re\leqq10^5$
ニクラゼの式
$10^5< Re<10^8$
・内面の粗い円管においては、層流は粗度にほとんど関係ない。
・管内面の凹凸の平均高さを管の内径で割った値である。
・乱流はレイノルズ数に無関係、粗度のみの関数である。
・カルマン・ニクラゼの式で求められる。
ムーディ線図
・カルマン・ニクラゼの式が基になっている
管内面の粗度:$ε/d$
レイノルズ数:$Re$
管内面の平均高さ:$ε$
管摩擦係数を求める。
水撃現象
ジャーコフスキーの式
圧力上昇:$hmax$
$hmax=ρav_0$
$ρ$:流体の密度
$a$:圧力波の伝播速度
$V_0$:流体の当初の流速
流体の密度、圧力波の伝播速度、流体の当初の流速に比例する。
圧力波の伝播速度
配管の材質(ヤング率等)により変化する。
硬質塩化ビニル管より鋼管の方が大きい。
例題
[問題 No.5]図に示す水平な管路内を空気が流れる場合において、A点とB点の間の圧力損失⊿Pの値として適当なものはどれか。
ただし、A点における全圧は80Pa、B点の静圧は10Pa、B点の流速は10m/s、空気の密度は1.2kg/㎥とする。
⑴5Pa
⑵10Pa
⑶15Pa
⑷20Pa
例題解答
測点 | A点 | B点 |
全圧(PT) | 80Pa | 70Pa |
静圧(Ps) | 10Pa | |
動圧(PD) | 60Pa | |
流速(m/s) | 10m/s | |
密度(kg/㎥) | 1.2kg/㎥ | |
圧力損失⊿P | 10Pa |
$動圧=密度×速度の2乗÷2$
$B点の動圧=1.2×10^2÷2=60Pa$
$B点の全圧=静圧+動圧=10Pa+60Pa=70Pa$
$圧力損失⊿P=A点の全圧-B点の全圧$
$80Pa-70Pa=10Pa$
正解:⑵
熱工学[3問]
熱
気体の法則
・ボイルの法則は、温度が一定のとき、一定質量の圧力Pと体積Vの積は一定を表す。
$PV=一定$
シャルルの法則
・圧力が一定のとき、気体の体積変化の割合は、温度変化に比例する。
ボイル・シャルルの法則
・一定質量の気体の体積Vは、圧力Pに反比例し、温度Tに比例する。
$\frac{PV}{T}=一定$
・ボイル・シャルルの法則に従う気体を理想気体という。
ダルトンの分圧の法則
・混合気体の圧力は、混合前の各気体の圧力の和に等しい。
気体A($P_A$)
気体B($P_B$)
気体C($P_C$)
混合気体($P_A+P_B+P_C$)
比熱
比熱 | 固体・液体の比熱 | 気体の比熱 |
定容比熱:$C$$v$ 定圧比熱:$C$$p$ |
$C$$p$$≒C$$v$ | $C$$p$$>C$$v$ |
比熱比=定圧比熱÷定容比熱 | $C$$p$$/C$$v$ | $C$$p$$/C$$v$ (1より大きい) |
・圧力一定のもとでの比熱を定圧比熱$C_P$という。
・容積一定のもとでの比熱を定容比熱$C_V$という。
・固体や液体 $C_p \fallingdotseq C_V$となり、気体 $C_P>C_V$はとなる。
比熱比
$C_p÷C_V$
気体は$1 < C_p÷C_V$
顕熱と潜熱
・顕熱とは、物体の温度を変化させる熱である。
・潜熱とは、物体の相を変化させる熱である。
熱的現象
膨張
・温度が1℃上昇後の物体の体積を温度上昇前の物体の体積で除した値を体膨張係数という。
・温度が1℃上昇後の物体の長さを温度上昇前の物体の長さで除した値を線膨張係数という。
・等方性を有する物体は、$体膨張係数 \fallingdotseq 線膨張係数×3$
ゼーベック効果
・2種類の金属を接合した回路の一方の接点を加熱して他方を冷却すると、接点間に熱起電力を生じる。
ペルチェ効果
・2種類の金属を接合した回路に電圧をかけると、一方の接点の温度が上がり他方が下がる。
熱力学の法則
第1法則
・熱と仕事のエネルギーは相互に変換可能である。
・変換の前後でエネルギーの総和が一定である。
第2法則
・熱が低温度の物体から、高温度の物体へ自然に移ることはない。
・クロジュース(クラウジウス)の原理という。
カルノーサイクル
名称 | サイクル | 温度T | エントロピーS | 圧力P | 体積V |
等温膨張 | ①→② | 一定 | 上がる | 下がる | 膨張 |
断熱膨張 | ②→③ | 下がる | 一定 | 下がる | 膨張 |
等温圧縮 | ③→④ | 一定 | 下がる | 上がる | 圧縮 |
断熱圧縮 | ④→① | 上がる | 一定 | 上がる | 圧縮 |
・等温膨張→断熱膨張→等温膨張→断熱圧縮→…
・可逆サイクルであり、逆回転はカルノーの冷凍サイクルである。
冷凍
・モリエ線図で冷凍サイクル状態変化を表す。
前提条件 | 凝縮温度 | 蒸発温度 | 圧縮仕事 | 冷凍効果 | 成績係数 |
蒸発温度一定 | 低 | ― | 小 | 大 | 大 |
高 | ― | 大 | 小 | 小 | |
凝縮温度一定 | ― | 低 | 大 | 小 | 小 |
― | 高 | 小 | 大 | 大 |
蒸発器での等圧変化
圧縮機での等エントロピー変化
凝縮器での等圧変化
膨張弁での等エンタルピー変化
成績係数
$ε_C(イプシロン)=冷凍効果÷圧縮仕事$
$=(h_2-h_1)÷(h_3-h_2)$
凝縮器の凝縮温度が低くなった状態は、冷凍効果は大きくなる。
伝熱
熱放射
・物体が電磁波の形で、熱エネルギーを放出・吸収する現象である。
・熱の移動は媒体を必要としない。真空中でも移動する。である。
・熱移動量は、ステファン・ボルツマンの法則
・物体表面の絶対温度の4乗に比例する。
・放射の強さは、物体の温度と表面の性質で決まる。
熱対流
・流体内のある部分が温められると、膨張により密度を減じて上昇し、周囲の低温流体が下降する現象である。
・固体と流体が接しているとき、固体から一定範囲の薄い流体層を温度境界層という。
・熱の浮力により発生する自然対流がある。
・外力により発生する対流を強制対流という。
・強制対流は、自然対流より、熱移動量が多く温度境界層が薄い。
熱伝導
固体内部及び隣接する固体間で、高温部から低温部に熱が移動する現象である。
フーリエの法則 熱移動量$Q$
$Q=λ\frac{θ_1-θ_2}{d}Aτ$
$λ$(ラムダ):熱伝導率
$θ_1$:高温側壁面温度
$θ_2$:低温側壁面温度
$d$:壁の厚さ
$A$:壁面積
$τ$(タウ):時間
・熱移動量$Q$は、熱伝導率$λ$に比例する。
・温度勾配$(θ_1-θ_2)/d$に比例する。
・熱移動量$Q$が一定時の温度勾配$(θ_1-θ_2)/d$は、熱伝導率$λ$に反比例する。
熱伝達
固体とこれに接する流体の間を熱が移動する現象である。
$Q=α(θ-t)Aτ$
$α$:熱伝達率
$θ$:壁面温度
$t$:周囲流体温度
$A$:壁面積
$τ$:時間
・$α$は、材料の表面と空気の間で、熱伝達するときの熱量の割合
・熱移動量$Q$は、固体表面温度と、周囲流体温度のとの差$(θ-t)$に比例する。
熱通過(熱貫流)
・壁の片側にある流体の熱が、もう一方にある流体に伝わる現象である。
$Q=K(t_1-t_2)Aτ$
$K$:熱通過率(熱貫流率)
$t_1,t_2$:両側の流体温度
$A$:壁面積
$τ$:時間
・熱移動量$Q$は、両側流体間の温度差$(t_1-t_2)$に比例する。
・固体壁の厚さに反比例しない。
・熱通過率$K$は、固体壁の厚さに反比例しない。
燃焼
燃焼現象
・排気ガス中に二酸化炭素と水蒸気以外の可燃物を含まない燃焼を完全燃焼という。
・不完全燃焼の排ガスは、窒素及び一酸化炭素等を含む。
・酸素濃度が19%に低下すると不完全燃焼をおこす。
・二酸化炭素の熱解離は、火炎温度の上昇を抑制する。
窒素酸化物(NOx)
・燃料中の窒素成分が酸素と結びついて発生する。
・燃焼ガス中の窒素酸化物は、低温燃焼時より高温燃焼時の方が多い。
・高温下の空気中、窒素と酸素の結合で発生する。
発熱量
・燃焼により生じる水蒸気の潜熱分を含んだ発熱量であり、高発熱量(総発熱量、高位発熱量)で表す。
・燃焼により生じる水蒸気の潜熱分を除いた発熱量は低発熱量(低位発熱量)となる。
$高発熱量=低発熱量+水蒸気の潜熱$
・ガスの発熱量は、一般に高発熱量で表示する。
・水蒸気の潜熱は、熱機関で利用できない。
理論空気量
・燃料を完全燃焼するために、理論的に必要な最少空気量をいう。
・気体燃料は、固体燃料より、理論空気量に近い空気量で完全燃焼する。
・気体燃料は、液体燃料より、理論空気量に近い空気量で完全燃焼する。
空気過剰率
$m=\frac{供給された空気量}{理論空気量}$
・適正値は、 気体燃料<液体燃料<固体燃料となる。
・小さすぎると不完全燃焼となる。
・大きすぎると熱損失が増大する。
・完全燃焼する範囲で小さくする。
湿り空気
・全圧は、乾き空気の分圧+水蒸気分圧となる。
・乾き空気分圧とは、乾き空気が示す分圧である。
・水蒸気分圧とは、水蒸気が示す分圧である。
・全圧、分圧は、湿り空気全圧=乾き空気分圧+水蒸気分圧となる。
絶対湿度
$=\frac{水蒸気の質量}{乾き空気の質量}[kg/kg(DA)]$
相対湿度
$=\frac{水蒸気分圧}{飽和水蒸気分圧}×100$[%]
露店温度
湿り空気中の水蒸気分圧(絶対湿度)に等しい水蒸気分圧(絶対湿度)をもつ飽和湿り空気の温度
エンタルピー
物体の保有する熱量の総和
熱水分比
$比エンタルピーの変化量÷絶対湿度の変化量$
顕熱比
$顕熱÷全熱=顕熱÷(顕熱÷潜熱)$
湿り空気線図
乾球温度 | 湿球温度及び比エンタルピー | 絶対湿度 | 相対湿度 | |
①冷水コイル | 下がる | 下がる | 不変 | 上がる |
②水スプレー | 下がる | ほぼ一定 | 上がる | 上がる |
③蒸気スプレー | 上がる | 上がる | 上がる | 上がる |
④温水コイル | 上がる | 上がる | 不変 | 下がる |
⑤固体吸着減湿 | 上がる | 上がる | 下がる | 下がる |
⑥液体吸収減湿 | 上がる | ほぼ一定 | 下がる | 下がる |
湿気
結露
・外壁に面した部屋の隅角部では、他の部分より伝熱量が増すため、表面結露が生じやすい。
・床暖房以外の暖房している室内は、床面付近で表面結露を生じやすい。
・室内空気の流動が小さくなると壁面温度が低下し、表面結露を生じやすい。
多層壁の内部結露防止
・構造体内の各点の水蒸気圧を飽和水蒸気圧より低くする。
・外壁の内側に繊維質の断熱材を用いる。
・断熱材の室内側に防湿層を設ける。
原論その他[1問]
音の性質
周波数と波長
・1秒間に振動する数を周波数という。
・1周波数分の波の長さを波長という。
・人間の可聴域は20~20,000Hz程度
・人間の感覚で、周波数の多い音は高い音として聴こえる。
・周波数の少ない音は低い音として聴こえる。
音速
・音の速さは波長と周波数の積になる。
音速=波長×周波数
・空気の温度が高いと速くなる。
・15℃の大気圧における空気中では340m/sとなる。
音の大きさ
・対象者と同じ大きさに聞こえる
・1,000Hzの純音の音圧レベルの数値で表示する。
屈折
・音は気流により屈折する。
・風下側によく伝わる。
・風上側に伝わりにくい。
音の合成
2つの音圧レベルの差 | 0 | 1 | 3 | 5 | 7 | 9 | 10 | ||
大きい方に加える値 | 3 | 2.5 | 1.8 | 1.2 | 0.8 | 0.5 | 0.4 |
・音圧レベルの等しい2つの音を合成すると、元の音圧レベルに+約3dBとなる。
・音圧レベルの差が10dBの音を合成すると、元の音圧レベルに+約0.4dBとなる。
・60dBの音を4つ合成した場合、約66dBとなる。
騒音
・マスキング効果とは、音を聞こうとするときに、騒音が同時に存在すると、対象音が聞こえにくくなる現象
・マスクする音とマスクされる音の周波数が近いほど、効果が大きくなる。
・高音が低音をマスクする程度より、低音が高音をマスクする程度の方が大きくなる。
NC曲線
・周波数別に音圧レベルの許容値を示したものである。
・音圧レベルの許容値は、周波数が低いほど大きくなる。
・連続したスペクトルをもつ騒音をオクターブ分析して評価する。
・一般事務室(大部屋)の許容騒音のNC値はNC-45程度である。
残響時間
・室温の音圧が定常状態に達したときに音を止め、その室内の平均音圧レベルが60dB減衰する(音のエネルギーが100万分の1になる)までの時間である。
・室の残響時間は、発生音の音圧レベルの大きさにより変化しない。
吸音・遮音
・ロックウール、グラスウール、じゅうたんは、中・高音域の音の吸音率が高い。
・薄いベニヤ板、ガラス等は、低周波数の音の吸音率が高い
・薄い板状の吸音材は、板が共振する周波数で吸音率が最大になる。
・低周波の音は処理が困難である。