平成21年度A[問題 No.4]

平成21年度A[問題 No.4]

[問題 No.4]流体に関する記述のうち、適当でないのはどれか。

⑴動粘性係数は、粘性係数をその流体の密度で除したものである。

⑵粘性による摩擦応力の影響は、一般に、境界層の近くで顕著に現れる。

⑶密閉された容器内に静止している流体の一部に加えられた圧力は、すべての方向に等しく作用する。

⑷鋼管よりも硬質塩化ビニル管の方が、ウォータハンマが発生しやすい。

平成21年度A[問題 No.4]解答

⑴適当である。
 粘性係数に比例し密度に反比例する。
以下の式で表される。
$動粘性係数=粘性係数÷密度$
気体は温度の上昇とともに大きくなり、液体は温度の上昇とともに小さくなる。

⑵適当である。
流体の粘性による摩擦応力の影響は、物体の表面近くで顕著であり、この物体表面近くの層を境界層という。

⑶適当である。
 どの方向に対しても等しい性質を有している。これをパスカルの原理という。
密閉した容器内に静止している流体の一部に加えられた圧力は、全ての方向に等しく作用する。

⑷適当ではない。
 ウォーターハンマーの圧力上昇は、圧力波の伝播速度に関係する。圧力波の伝播速度は管材の縦弾性係数(ヤング率)に関係し、ヤング率が小さいほど圧力波の伝播速度が小さくなり、ウォーターハンマーが発生しづらくなる。

$a:圧力波の伝播速度[m/s]$
$a_{0}:液中音速[m/s]$
$ρ_{0}:水の密度[kg/㎥]$
$E:管材料の縦弾性係数(ヤング率)[Pa]$
$D:管の内径[m]$
$S:管の肉厚[m]$

$a=\frac{a_0}{\sqrt{(1+a^2_{0}ρ_0D/ES} \\}$

鋼管よりも硬質塩化ビニル管の方が、ウォータハンマが発生しにくいのは、ヤング率が鋼管よりも硬質塩化ビニル管の方が小さいからである。

正解:⑷