令和4年度A[問題 No.4]

令和4年度A[問題 No.4]

[問題 No.4]流体に関する記述のうち、適当でないものはどれか。

⑴管種以外の条件が同じ場合、硬質塩化ビニル管は鋼管よりウォーターハンマーが発生しやすい。

⑵キャビテーションとは、流体の静圧が局部的に飽和蒸気圧より低下し、気泡が発生する現象をいう。

⑶流体の粘性による摩擦応力の影響は、一般的に壁面近くで顕著に現れる。

⑷液体の自由な表面で、その表面を縮小しようとする性質により表面に働く力を表面張力という。

令和4年度A[問題 No.4]解答

⑴適当ではない。
 管種以外の条件が同じ場合、硬質塩化ビニル管は鋼管よりウォーターハンマーが発生しにくい。
ウォーターハンマーの圧力上昇は、圧力波の伝播速度に関係する。圧力波の伝播速度は管材の縦弾性係数(ヤング率)に関係し、ヤング率が小さいほど圧力波の伝播速度が小さくなり、ウォーターハンマーが発生しづらくなる。

$a:圧力波の伝播速度[m/s]$
$a_{0}:液中音速[m/s]$
$ρ_{0}:水の密度[kg/㎥]$
$E:管材料の縦弾性係数(ヤング率)[Pa]$
$D:管の内径[m]$
$S:管の肉厚[m]$

$a=\frac{a_0}{\sqrt{(1+a^2_{0}ρ_0D/ES} \\}$

鋼管よりも硬質塩化ビニル管の方が、ウォータハンマが発生しにくいのは、ヤング率が鋼管よりも硬質塩化ビニル管の方が小さいからである。

⑵適当である。
 キャビテーションとは、流体が流動しているときに、ある部分における静圧がそのときの流体温度に相当する蒸気圧力(飽和蒸気圧)以下になった場合に、その部分の液体が局部的に蒸発を起こし気泡を発生する現象をいう。また、水温が高いと水は蒸発気化しやすくなるので、キャビテーションが発生しやすくなる。

⑶適当である。
 流体の粘性による摩擦応力の影響は、物体の表面近くで顕著であり、この物体表面近くの層を境界層という。

⑷適当である。
 液体の自由な表面では、液体は液面を縮小しようとする性質を持っている。このため液面は、弾性膜のような作用をなし表面に張力がはたらく。これを表面張力という。液体分子の凝集によって、液体の表面をできるだけ小さくしようとする力である。

正解:⑴