送風機の種類と特徴
多翼送風機
・用途は空気調和に用いられる。
・多翼送風機の軸動力特性は、風量の増加とともにゆるやかに大きくなる。
・所要風量以上の風量域に達するとオーバーロードになることがある。
・多翼送風機は、シロッコファンとも呼ばれ幅の広い前向き羽根で、高い圧力を出すことはできないが、所要の風量と静圧に対して他の形式に比べ最も小型で大風量を扱うことができる。
・効率はそれほど良くはなく、羽根車は構造上高速回転に適さないので、静圧600~800Pa程度以下で使用される。
軸流送風機
・用途は換気扇、ルーフファンに用いられる。
・軸流送風機の軸動力特性は、風量の増加とともに低下する。
・低静圧・大風量に適した送風機で、構造的に高速回転が可能なため全体的に形状が小さくなる。
・遠心送風機に比べて同一圧力を出すのに約2倍の羽根車周速を必要とするため、騒音が大きい。
・軸流送風機は、ケーシングあるいは案内羽根の有無により、ベーン型、チューブラ型、プロペラ型の3種類に分類される。
・ベーン型は、ケーシングと案内羽根をもち、チューブラ型より効率が高く、高圧(静圧100~790Pa)に適している。
・チューブラ型はケーシングのみをもち、中圧(静圧50~150Pa)、大風量に適している。
・プロペラ型は、ケーシングも案内羽根ももたず、効率が低く、低圧(静圧0~100Pa)に適している。
横流送風機
・用途はエアカーテン、ファンコイルユニット、ルームエアコンの室外機に用いられる。
・羽根幅が広いこともあり、エアーカーテンなどに利用される。
・羽根車の軸方向の長さを変えることで風量の増減が可能で、エアーカーテン等の利用される。
・比較的小さな羽根車で大きな風量を出すことができる。
斜流送風機
・羽根車の形状及び風量・静圧の特性が、軸流送風機と遠心送風機の中間にある。
・風量及び静圧特性も軸流式と遠心式の中間に位置し、小型のわりには取り扱う風量が多く、比較的静圧も高く200~400Pa程度が多く使用されている。
・斜流送風機の圧力曲線は、軸流送風機と同様に谷と山を持つが軸流送風機ほど急ではない。
・軸動力は、風量の変化に対してほぼ変わらず、圧力曲線の山の付近で最大となるリミットロード特性を持つ。
後向き羽根送風機
・多翼送風機に比べ高速回転が可能であり、高圧力を必要とする場合に適している。
・羽根幅が小さく羽根が回転方向に対して後方に湾曲し、高速回転が可能である。
・静圧2,000~3,000Pa程度まで使用できるので、排煙機など高圧力を必要とするダクト系に適している。
特性曲線
⑴多翼送風機
圧力曲線は山と谷を持った曲線で、不安定な運転を引き起こすことがある。動力曲線も右上がりの曲線となっており、所要風量以上の風量に達するとオーバーロードになることがある。
⑵後向き羽根送風機
動力曲線は最高効率点付近に山があり、リミットロード特性があり、圧力曲線も広い風量範囲で安定運転できる。
⑶軸流送風機
圧力曲線は、風量0が最高圧となる。谷と山があり、風量の増加とともに急激に圧力が降下する特徴がある。効率曲線は、急で最高効率点の幅が狭くなっている。軸動力は、風量0で最高軸動力となり、風量の増加とともに低下する。
⑷斜流送風機
圧力曲線は、軸流送風機と同じく谷と山を持ち、軸流送風機より急ではない。軸動力は、風量の変化に対してほとんど変わらずに、圧力曲線の山付近で最高となるリミットロード特性がある。
理論と特性
相似法則
回転数 | 比例 |
1乗 | 風量 |
2乗 | 全圧 |
3乗 | 軸動力 |