水と環境

【試験で問われる内容】
水質汚濁の指標
有害物質の種類

基礎

 phは、水素イオン濃度の大小を表す。
0から14までの15段階に分類され、7は中性、7未満は酸性、7より大きい数値はアルカリ性となる。
pH4の硫酸水溶液を蒸留水で希釈する場合は、10倍でph5、100倍でph6となるが、1,000倍で希釈しても7にはならない。

水質汚濁

有害物質にかかわる排水基準
有害物質・種類 許容限度
カドミウム及びその化合物 カドミウムとして0.03mg/ℓ
シアン化合物 シアンとして1mg/ℓ
有機燐化合物(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン及びEPNに限る。) 1mg/ℓ
鉛及びその化合物 鉛として0.1mg/ℓ
六価クロム化合物 六価クロムとして0.5mg/ℓ
砒素及びその化合物 砒素として0.1mg/ℓ
水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物 水銀として0.005mg/ℓ
水質汚濁
名称 概要
BOD 生物化学的酸素要求量 水中に含まれる有機物質が微生物によって酸化分解される際に消費される酸素量[mg/L]である。
1Lの水を20℃で5日間放置して、その間に微生物によって消費される酸素量で表す。
水中に含まれる有機物質の量を表す指標である。
COD 化学的酸素要求量 水中に含まれる有機物質を酸化剤で化学的に酸化したときに消費される酸素量[mg/L]
水中に含まれる有機物質及び無機性亜酸化物質を表す指標である。
TOD 全酸素要求量 水中の被酸化性物質を完全に燃焼させ、その時に消費される酸素量[mg/L]
TOC 全有機炭素量 水中に存在する有機物質に含まれる炭素の総量[mg/L]
水中の総炭素量から、無機性炭素量を引いて求める。
SS 浮遊物質 粒径2mm以下の水に溶けない懸濁性の物質[mg/L]
水の汚濁度を視覚的に判断する指標である。
全蒸発残留物から溶解性残留物を除いたもの。
DO 溶存酸素 水中に溶けている酸素の量[mg/L]
生物の呼吸や溶解物質の酸化等で消費される。
※水質汚濁の指標ではない。
窒素及びリン 湖沼・海域等の閉鎖性水域における植物性プランクトンや水生植物が以上増殖する富栄養化の原因物質
ノルマルヘキサン抽出物質 揮発しにくい炭化水素、グリース等の油分で、ノルマルヘキサンで抽出される物質
ノルマルヘキサン抽出物質含有量[mg/L]は、油脂類による水質汚濁の指標である。
大腸菌 病原菌が存在する可能性を示す指標

BOD(生物化学的酸素要求量)

 生物化学的酸素消費量とも呼ばれる最も一般的な水質指標のひとつであり、主に略称のBODが使われている。水中に含まれる有機物質が微生物によって、酸化分解される際に消費される酸素量であり、特定の物質を示すものではない。1Lの水を20℃で5日間放置して、その間に微生物によって消費される酸素量で表す。河川等の水質汚濁の指標を水中に含まれる有機物質の量で示す。一般に、BODの値が大きいほど、その水質は悪いと言える。

COD(化学的酸素要求量)

 水中に含まれる有機物質を酸化剤で科学的に酸化したときに消費される酸素量であり、湖沼や海域等の水質汚濁の指標である。また、工場排水の指標としても用いられている。水中に含まれる有機物質及び無機性亜酸化物質の量を示す。CODの数値が大きい場合は、水中に存在する有機物の量が多いことを意味し、有機物による水質汚濁の程度が大きいことになる。

TOD(全酸素要求量)

 水中の被酸化性物質を完全燃焼させ、そのときに消費される酸素量であり、水質汚濁の指標の一つとされている。炭素、水素、窒素、硫黄、リンなどによって消費される酸素量と定義されている。

TOC(全有機炭素量)

 水中に存在する有機物質に含まれる炭素の総量であり、水中の総炭素量から無機性炭素量を引いて求める。

SS(浮遊物質)

 粒径2mm以下の水に溶けない懸濁性の物質であり、水の汚濁度を視覚的に判断する指標であり、全蒸発残留物から溶解性残留物を除いたもので示す。SSが高いと濁りの程度が高いことを示す。

DO(溶存酸素)

 「溶存酸素量」とは、大気中から水に溶け込んでいる酸素(O2) の量のことである。
水中の生物も人間と同じように酸素を必要としているので、DOが減少すると、水中の好気性微生物の活動が鈍って腐敗臭がするなど河川や海域の自然浄化作用が働かなくなり、また、魚介類などの水棲生物が窒息死することもある。一般に河川などで悪臭が発生しないためには、DOが2mg/l 以上、また、魚介類が生存するためには3mg/l 以上が必要といわれている。水質汚濁の指標ではない。

窒素及びリン

 閉鎖性水域における富栄養化の主な原因物質である。富栄養化は植物性プランクトンの増殖を引き起こし、赤潮やアオコの原因となる。

ノルマルヘキサン抽出物質

 n-Hexとは、動植物油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、リン脂質などの脂肪酸誘導体、ワックスグリース、石油系炭化水素等の総称で、溶媒であるn-Hexにより抽出される不揮発性物質の含有量を指す。水中の「油分等」を表わす指標として用いられる。 厨房等からの排水に含まれる比較的揮発しにくい炭化水素、グリース等の油分である。油脂類による水質汚濁の指標である。