音と腐食

【試験で問われる内容】
音(性質、断熱材の防音効果、NC曲線)
腐食(種類、特徴)

音の性質

周波数と波長

 1秒間に振動する数を周波数といい、1周波数分の波の長さを波長という。人間の可聴域は20~20,000Hz程度であり、人間の感覚で、周波数の多い音は高い音として聴こえる。周波数の少ない音は低い音として聴こえる。

音速

 音の速さは波長と周波数の積になる。
音速=波長×周波数
空気の温度が高いと速くなる、15℃の大気圧における空気中では340m/sとなる。

音の大きさ

 音の大きさは、その音と同じ大きさに聞こえる1,000Hzの純音の音圧レベルの数値で表示する。また、音の強さとは、音の進行方向に垂直な平面内の単位面積を単位時間に通過する音のエネルギー量である。単位はW/㎡で表される。

屈折

 音は気流により屈折し、風下側によく伝わる。逆に風上側に伝わりにくい。

音の合成

2つの音圧レベルの差 0 1 10
大きい方に加える値 3 2.5 1.8 1.2 0.8 0.5 0.4

 音圧レベルの等しい2つの音を合成すると、元の音圧レベルに+約3dBとなり、音圧レベルの差が10dBの音を合成すると、元の音圧レベルに+約0.4dBとなる。60dBの音を4つ合成した場合、約66dBとなる。

騒音

 マスキング効果とは、音を聞こうとするときに、騒音が同時に存在すると、対象音が聞こえにくくなる現象であり、マスクする音とマスクされる音の周波数が近いほど、効果が大きくなる。また、高音が低音をマスクする程度より、低音が高音をマスクする程度の方が大きくなる。

 騒音計には、A特性、C特性及びZ特性があるが、騒音レベルは、一般に、A特性を用いて測定した音圧レベルである。

残響時間

 残響時間とは、室温の音圧が定常状態に達したときに音を止め、その室内の平均音圧レベルが60dB減衰する(音のエネルギーが100万分の1になる)までの時間である。室内の残響時間は、発生音の音圧レベルの大きさにより変化しない。

 点音源から放射された音が球面状に一様に広がる場合、点音源からの音の強さは、距離の2乗に反比例する。距離が2倍になると音の強さは1/4になり、音の強さのレベルは6dB減少する。線音源からの音の強さは、距離に反比例し、距離が2倍になると音の強さは1/2になり、音の強さのレベルは3dB減少する。線音源は、点音源に比べ、遠方に騒音が及ぶ。

NC曲線

 NC曲線とは、周波数別に音圧レベルの許容値を示したものである。音圧レベルの許容値は、周波数が低いほど大きくなる。連続したスペクトルをもつ騒音をオクターブ分析して評価する。一般事務室(大部屋)の許容騒音のNC値はNC-45程度である。

断熱材の遮音効果

吸音・遮音

 ロックウール、グラスウール、じゅうたんは、中・高音域の音の吸音率が高い。薄いベニヤ板、ガラス等は、低周波数の音の吸音率が高い。薄い板状の吸音材は、板が共振する周波数で吸音率が最大になる。一般的に低周波の音は処理が困難である。
一重壁の透過損失は、壁の単位面積当たりの質量が大きくなるほど大きくなる。

腐食

腐食の種類

腐食の種類 内容
異種金属腐食(ガルバニック腐食) 異なる金属を水または水溶液中(電気が流れやすい状況)で接触させた場合、その電位差が大きくなるのと比例して、電位の低いの金属の陽イオン化がますます促進される。 つまり、イオン化傾向の大きな金属、電位の小さな金属が急激に腐食してしまう現象である。
迷走電流腐食(電食) 電気鉄道など直流電源を使用している場合、レールなどから漏れ電流が土壌中に流出し、その一部が近隣の埋設配管やタンクなどの施設に流入することがある。 この場合、流入電流が再び土壌中に流出する際、材料部分で短期的に激しい腐食が生じる。 この漏れ電流を迷走電流、また材料の腐食現象を電食と定義されている。コンクリート内の鉄は土に埋設された鉄より腐食しにくい。
すきま腐食 配管のフランジ部分など、金属と金属、あるいは、金属と非金属の合わさった隙間部が優先的に腐食する現象である。
選択腐食 合金成分中のある種の成分のみが溶解する現象であり、黄銅製バルブ弁棒で起こる場合がある。
かい食 比較的速い流れの箇所で局部的に起こる現象で、銅管の曲がり部で生じる場合がある。
マクロセル腐食 地中埋設された鋼管が鉄筋コンクリートの壁等を貫通する場合、コンクリート中の鉄筋に電気的に接続されると、電位差を生じて起こる。
その他 SUS304製受水タンクは、気相と液相の境界で腐食を生じやすい。

腐食の特徴

イオン化傾向による腐食

 亜鉛や鉄など電気化学的腐食を起こしやすい金属は、イオン化傾向が大きい。また、亜鉛は、鉄よりもイオン化傾向が大きいので、腐食しやすい。

水中での腐食

 水中における炭素鋼の腐食は、pH4以下になると急激に増大する。また、水中における銅管の腐食は、pH6.5程度の微酸性の水では、中性の水と比較して高い腐食速度を示す。水中でイオン化傾向が異なる金属を接触させた場合、貴な金属よりイオン化傾向が大きい金属(卑な金属)の方が腐食しやすく、陽極となる金属が腐食する。

配管腐食

 配管用炭素鋼鋼管の腐食速度は、管内流速が速くなると増加するが、ある流速域では表面の不動態化が促進され腐食速度が減少する。また、配管システムが溶存酸素の供給が多い開放系の場合、炭素鋼管の腐食速度は、水温の上昇に伴って大きくなるが、ある(水温80℃位)に達すると、水温の上昇に伴って小さくなる。