平成20年度A[問題 No.7]

平成20年度A[問題 No.7]

[問題 No.7]伝熱に関する記述のうち、適当でないものはどれか。

⑴固体内部における熱伝導による伝熱量は、その固体内の温度勾配に比例する。

⑵熱放射により伝熱されるエネルギー量は、物体の絶対温度の4乗に比例する。

⑶固体壁とこれに接する流体間における熱伝達による熱の移動量は、固体の表面温度と周囲流体温度との差に比例する。

⑷固体壁の両側の流体間における熱通過による熱の移動量は、固体壁の厚さに反比例する。

平成20年度A[問題 No.7]解答

⑴適当である。
 熱移動量$Q$は、熱伝導率$λ$に比例し、温度勾配$(θ_1-θ_2)/d$に比例する。
熱移動量$Q$が一定時の温度勾配$(θ_1-θ_2)/d$は、熱伝導率$λ$に反比例する。

⑵適当である。
 熱放射とは物体が電磁波の形で、熱エネルギーを放出・吸収する現象である。
熱の移動は媒体を必要とせず、真空中でも移動する。熱移動量は、ステファン・ボルツマンの法則で物体表面の絶対温度の4乗に比例する。放射の強さは、物体の温度と表面の性質で決まる。

⑶適当である。
熱伝達とは、固体とこれに接する流体の間を熱が移動する現象である。

$Q=α(θ-t)Aτ$

$α$:熱伝達率
$θ$:壁面温度
$t$:周囲流体温度
$A$:壁面積
$τ$:時間

$α$は、材料の表面と空気の間で、熱伝達するときの熱量の割合
熱移動量$Q$は、固体表面温度と、周囲流体温度のとの差$(θ-t)$に比例する。
固体壁表面の熱伝達率の大きさは、固体壁表面に当たる気流の影響を受ける。

⑷適当ではない。
 壁の片側にある流体の熱が、もう一方にある流体に伝わる現象である。
$Q=K(t_1-t_2)Aτ$

$K$:熱通過率(熱貫流率)
$t_1,t_2$:両側の流体温度
$A$:壁面積
$τ$:時間

熱移動量$Q$は、両側流体間の温度差$(t_1-t_2)$に比例する。
熱通過率$K$は、固体壁の厚さに反比例しない。

正解:⑷