平成29年度A[問題 No.10]

平成29年度A[問題 No.10]

[問題 No.10]金属材料の腐食に関する記述のうち、適当でないものはどれか。

⑴配管のフランジ接合部など、金属と金属、あるいは、金属と非金属の合わさったすきま部が優先的に腐食される現象をすきま腐食という。

⑵水中における銅管の腐食は、pH6.5程度の微酸性の水では、中性の水と比較して高い腐食速度を示す。

⑶開放系配管における炭素鋼の腐食速度は、水温の上昇とともに80℃位までは増加する。

⑷水中でイオン化傾向が異なる金属を接触させた場合、イオン化傾向が小さい金属の方が腐食しやすい。

平成29年度A[問題 No.10]解答

⑴適当である。

腐食の種類 内容
異種金属腐食(ガルバニック腐食) 異なる金属を水または水溶液中(電気が流れやすい状況)で接触させた場合、その電位差が大きくなるのと比例して、電位の低いの金属の陽イオン化がますます促進される。 つまり、イオン化傾向の大きな金属、電位の小さな金属が急激に腐食してしまう現象である。
迷走電流腐食(電食) 電気鉄道など直流電源を使用している場合、レールなどから漏れ電流が土壌中に流出し、その一部が近隣の埋設配管やタンクなどの施設に流入することがある。 この場合、流入電流が再び土壌中に流出する際、材料部分で短期的に激しい腐食が生じる。 この漏れ電流を迷走電流、また材料の腐食現象を電食と定義されている。コンクリート内の鉄は土に埋設された鉄より腐食しにくい。
すきま腐食 配管のフランジ部分など、金属と金属、あるいは、金属と非金属の合わさった隙間部が優先的に腐食する現象である。
選択腐食 合金成分中のある種の成分のみが溶解する現象であり、黄銅製バルブ弁棒で起こる場合がある。
かい食 比較的速い流れの箇所で局部的に起こる現象で、銅管の曲がり部で生じる場合がある。
マクロセル腐食 地中埋設された鋼管が鉄筋コンクリートの壁等を貫通する場合、コンクリート中の鉄筋に電気的に接続されると、電位差を生じて起こる。
その他 SUS304製受水タンクは、気相と液相の境界で腐食を生じやすい。

⑵適当である。
 水中における炭素鋼の腐食は、pH4以下になると急激に増大する。また、水中における銅管の腐食は、pH6.5程度の微酸性の水では、中性の水と比較して高い腐食速度を示す。

⑶適当である。
 配管用炭素鋼鋼管の腐食速度は、管内流速が速くなると増加するが、ある流速域では表面の不動態化が促進され腐食速度が減少する。また、配管システムが溶存酸素の供給が多い開放系の場合、炭素鋼管の腐食速度は、水温の上昇に伴って大きくなるが、ある(水温80℃位)に達すると、水温の上昇に伴って小さくなる。

⑷適当ではない。
水中でイオン化傾向が異なる金属を接触させた場合、イオン化傾向が小さい金属の方が腐食しにくい。

正解:⑷